2012年12月27日木曜日

7つの誤解(前編)。



さて、前回はSteve Kaufmann という人をご紹介し、彼の主張する「7つの誤解」をお伝えしました。
  1. 言語学習は難しい
  2. 言語学習には特殊な能力が必要である
  3. 習得したい言語が話される場所に行く必要がある
  4. 子供でなければ言語の習得は難しい
  5. 英語学校に通い、習う必要がある
  6. 言語習得のためには「話す」必要がある
  7. 時間を確保するのが難しい
という内容でした。

ここから少しだけ、各項目についてコメントしたいと思います。
今回は前半、1〜4についてです。

1、2、においてSteveは、「言語学習は特別な能力が必要なものでもなければ、特に難しいものでもない。」としています。「もし難しい場合があるとすれば、それはどうしてもやりたくない場合だけだ」と。

面白いエピソードを一つ紹介します。私の友人に言語教師がいます。意見を聞きたかったので彼にビデオを見てもらいました。彼は日本語も教えているので、ビデオの中のSteveの日本語能力が如何に高いかが瞬時に分かりました。そして「この人は特殊だから参考にしない方が良い」とアドバイスをくれました。

これがまさにSteveの言いたかった「誤解」なのだと思います。Steveは言います。「この手の評価が一番悩ましい。自分は多大な時間を割いて来た。努力の結果だ。決して特殊能力では無い」と。

3、現地に住む事のメリットについて、彼は「沢山の移民がDefensiveなレベルの英語力でとどまっているのを見て来たし、語学留学に来る留学生で実際に英語力が向上するのは10%~20%だ」と言います。つまり、「あまり無い」と言っています。

これを読んでいる方の中にも「現地に居るアドバンテージは大きいのだろう」と思う方がいらっしゃるかもしれません。しかしながら、私も経験から断言できます。言語習得だけをみた場合、現地に行くメリットは決して大きいものではありません。

念の為に付け加えますと、メリットが「全く無い」と言っているわけではありません。極めて少ないと言っているのです。これは言語習得に限っての話です。私は個人的に留学をして大変良かったですし、すべての留学未経験の方に、強くお勧めします。しかし私がお勧めしたい理由は語学のメリットの点から来るものでは無いのです。

Steveが言う「移民の英語力」に関しては、レストランや店員さんとしての彼らと接する中で、私も実際に見てきました。もちろん人にもよるのでしょうが、その英語力は決して高いものではありません。都心を離れたチャイナタウンなどでは英語が通じない事すらあります。生活するだけであるならば、Defensive なレベルで事足りてしまいます。

4、に関してSteveは我々に希望を与えてくれます。彼は55歳を超えてから4つの言語を身につけたと言います。すでに60歳を超え、今もなお、新しく韓国語やチェコ語に挑戦しています。仮に彼がスーパーマンだったとしましょう。それでも私も一つの言語くらい身につけられるのではないでしょうか。

また、年齢を重ねる事により、むしろ効率が上がっているそうです。学習者としてのレベルは後退しないはおろか、成長し続けていると言います。「大人に必要なのは、失敗を恐れずに試そうという心構えと、真にコミュニケーションしたいという欲求だ」と彼は言います。

これで年齢も言い訳にできなくなってしまいました。問題は年齢ではなく、方法にあったのです。


後半に続きます。

2012年12月26日水曜日

1本のYou Tube ビデオ。


(前回の続き)

さて、ここへきて英語習得について再考しなくてはならなくなってしまったわけです。思いついたのは、You Tubeなどで英語を自在に操る日本人の動画をみつけて、そこからヒントを得ようということでした。思いのほか様々な情報を得る事ができました。

日本人スポーツ選手が英語のインタビューに答えているビデオや、タレントの赤西仁君が英語が流暢である、ですとか、三島由紀夫が英語が上手であったなど周辺の情報が手に入りました。しかし、なかなか「効果的な英語上達」にダイレクトに効く情報を手に入れる事はできませんでした。

ところが、さすが、筆者が21世紀の屈指の発明と推すYou Tubeです。私の検索履歴や閲覧履歴から1本のYou Tubeビデオを推薦してくれました。

これがSteve Kaufmann (スティーブ・カウフマン)さんとの出会いでした。

後で知る事になるのですが、Steve Kaufmann さんは、もともとはカナダ政府の外交官でした。在職中は様々な国に滞在し、日本にも9年間いらしたそうです。経験を通して「外国語の習得」に対する考え方を確立し、その後「LingQ」という外国語学習支援サイトを立ち上げています。

英語を流暢に話す日本人を探していたのですが、日本語を流暢に話す外国人を見つけてしまいました。

はじめはただ単に、「随分日本語を上手に話す方だなあ」という印象をもっただけでしたが、ビデオの内容を良く聞いてみると、実に言語習得に対して真摯に向き合っている事、カウフマンさんが大変経験が豊富な事、そして確立した方法論に自信を持っていらっしゃる事などが伝わってきました。そして何よりもそれを実践し、You Tube上で(日本語を使う事によって)証明していました。

この方は本物かもしれない(失礼!)と思いました。

聞けば、10以上の言語について話す事ができるとの事で、You Tube上にいくつものビデオを、いくつもの言語で載せていました。もちろんメインは英語のビデオになるのですが、日本語のものもいくつか発見する事ができました。

こちらは藁をも掴む思いですから、彼が上げているビデオを、(日本語と英語のものだけですが)かたっぱしから確認しました。日本語ネイティブか、英語ネイティブか。その差こそあれ、外国語をできるだけ効率的に習得するということに変わりはありません。そして、これらのビデオは私が陥っていたいくつもの過ちから救い出してくれる結果になりました。

ここで、彼の主張の一つを簡単に紹介したいと思います。

彼は英語学習者の陥りやすい誤解7つを指摘し、「これらは間違いだ」としています。

  1. 言語学習は難しい
  2. 言語学習には特殊な能力が必要である
  3. その国で生活する必要がある
  4. 子供でなければ言語の習得は難しい
  5. 英語学校に通い、習う必要がある
  6. 言語習得のためには「話す」必要がある
  7. 時間を確保するのが難しい

繰り返しになりますが、Steveは、これらが「誤解である」と主張します。私は今では実体験を元に、これらの主張に完全に同意する事ができます。特に3、5、6、は、もしかしたら誤解されている方が多いのではないでしょうか。

次回は、上の各項目について少し詳しく触れたいと思います。

最後に私がはじめて見た彼のビデオを紹介します。彼の日本語が如何に流暢か、皆さんも驚かれると思います。





2012年12月25日火曜日

やっぱり結局、英語力だった。



とても長い期間、更新が滞ってしまいました。

と言っても、更新をしていなかった間、決してただ遊んでいた訳ではありません。

プロフィールにもある通り、2012年1月より、ニューヨーク大学とグローバルエデュケーション株式会社の提供するグローバルサーティフィケートプログラムに参加していました。「このプログラムについて行くのに必要な事」に多量の時間を割いていました。

何にそんなに時間が掛っていたのか?ですが、やはり、とにもかくにも英語力、です。

私の参加していたプログラムは、英語の授業+ビジネスの授業という構成です。このビジネスの授業についていくためには、やはり英語力が要されます。ついて行くだけでは無く、授業で展開されるナレッジを本当に「ものにする」には相当の英語力が要されます。

もちろん授業によってはインタラクティブなやり取りが必要とされます。

各授業のGrade(成績)の決定要素には決まって"Class Participation" の項目があり、多くの場合これはAttendance(出席)とは切り離され、「どれだけ積極的に参加したか」が成績に影響してきます。

「積極的に参加する」とは、質問、発言を適宜行い、講師、あるいは他の学生とInteractiveなやり取りをする事に他なりません。講師の、または他の学生の話のMain Pointを正確に理解し、適切な質問・回答を瞬時に用意し、実施する事が求められます。学生同士のInteractiveなやり取りから「気づき」を促す形の授業もあります。

これを英語ネイティブでない学生が行うのは至難の業です。例え日本語であったとしても時に難しいでしょう。つまり相当高度なレベルでの英語使用能力が求められます。

もちろん、授業によっては英語ネイティブでない学生が多数参加するものもありますし、Professor陣に、非ネイティブである事の大変さを理解していただける場合がほとんどです。また、多くの場合、我々ノンネイティブが立てる"Noise"はチャレンジとして歓迎されるでしょう。

しかし、できれば本来の形に近い形で参加したいし、せっかくの授業の機会を物にしたいというのが多くのノンネイティブの本音ではないでしょうか。100%である必要は当然無いのですが、できるだけ100%に近づける努力をする必要があり、それは、具体的に言えば、やはり英語力を1ミリでも上げる事に他なりません。

そんなわけで、相当早い段階で、「これはまずいぞ」という事になったのです。

当然、日本で事前に準備もしていました。しかし「私がやっていた準備」は全く通用しませんでした。

「でも英語の授業もあったんでしょう?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。

その通り、午前中は英語の授業がありました。そこで私も、はじめのセメスターは様子を見ることにしました。「英語の授業に参加しているのだから、きっと伸びてくるに違いない。まずはとにかく授業に集中して、出された課題をきっちりやろう」と。ところが、はじめのセメスターが終わる頃になっても、上の文章で述べた様な、必要とされるレベルの英語力を、相変わらず持ち合わせない自分が居ました。

英語圏に住み、毎日英語の授業があり、宿題も大量にあり、夜の授業ももちろん英語で、これまた沢山の宿題が出る。これをきっちりやっているにも関わらず、伸びない。いえ、正確には伸びていなかった訳ではないのでしょう。しかし、必要とされるレベルから考えると、「微々たるインパクトであった」と言わざるを得ません。

2011年9月に結婚し、日本には妻を置いて来ています。30代になってからのチャレンジは、決して一般的に言ってリスクが少ないものではありません。ここで、何も得られずに帰って許されるはずがありません。

そんなこんなで「このままでは相当やばいぞ!」という事になりました。

ここからは必死で効果的な方法を探す事になります。何しろ「英語の授業」という、もっとも期待していた武器が火を吹かないのですから、こちらは丸腰同然です。(注:英語の授業を完全に否定するわけではありません。後ほど詳述します。)日本で「英語の勉強法の勉強」は一通りしていたはずでした。Dictation(英語の書き取り:英語を聞き取った先から書いて行く)が効果的である事も知っていましたし、はじめのセメスターからすでに実践していました※。

※英語の授業の中で、Matt Cuttsの有名なTED Talk, 「Try something new for 30 days」が取り上げられ、「英語について何かを30日間チャレンジしよう」という課題が最初のセメスター通して設定されていました。Dictationが効果的であることを知っていた私は、ここでのチャレンジ対象としてDictationを選んでいたのです。今思えば、この時のDictationの対象に問題がありました。
http://www.ted.com/talks/matt_cutts_try_something_new_for_30_days.html

何が効果的なのか、模索する日々が続きます。そんな中1本のYou tubeビデオに辿り着きました。このとき5月。ニューヨークは厳しい冬を終え、短い春の訪れとともに、すでに時折、夏の暑さが見え隠れしていました。


続く